えーらーす・だんろすしょうこうぐん(ひふむりょくしょう) エーラース・ダンロス症候群(皮膚無力症) [猫]
概要
先天的に体内でコラーゲンが正常に作れないために、皮膚が過剰に伸び、かつ裂けやすくなってしまう、非常にまれな病気です。
基礎知識
コラーゲンは皮膚を構成するタンパク質の一つです。皮膚だけでなく、骨や軟骨、血管などをはじめ、体の様々な組織を構成しています。
原因
先天的な遺伝性の病気です。原因遺伝子は今のところ明らかになっていません。
症状
生後すぐに発症しますが、加齢とともに徐々に症状が悪化するケースもあります。
皮膚が過剰に伸び、容易に裂けてしまいます。ほかにも、関節が異常に伸展する、脱臼しやすい、血管が弱く内出血を起こしやすい、眼球内で水晶体の脱臼を起こす場合があります。
高齢の猫では、内分泌疾患や肝疾患により、同じく皮膚が裂けやすくなってしまう「後天性皮膚脆弱症候群」という病気があります。
検査・診断
一般的に、皮膚症状と皮膚の伸びを評価して診断します。皮膚の一部を切り取り病理検査を行う場合があります。
ほかの病気との鑑別のために、血液検査などを実施する場合があります。
治療
エーラース・ダンロス症候群(皮膚無力症)の効果的な治療法はありません。
物理的な刺激や激しい運動を避けます。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
・複数回や長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
・ネコちゃんのストレスを軽減するために、アクセスの良い場所にキャットフレンドリーな病院があるか探してみるのもよいでしょう。
予防
現時点で予防法はありません。
遺伝性疾患ですので、発症した猫は繁殖させるべきではありません。
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部位
監修
獣医師 松本裕子
マツモト動物クリニック
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北里大学大学院博士課程を修了。獣医学博士。日本獣医皮膚科学会認定医を取得。
現在は、愛知県豊橋市のマツモト動物クリニックに勤務。
犬2頭、猫3頭と暮らしています。
マツモト動物クリニックホームページ