ちゅうどくせいかんえん 中毒性肝炎 [猫]
概要
生活環境に存在する毒素や何らかの治療薬などが原因となって起こる肝臓の炎症のことをいいます。

基礎知識
人薬や治療薬、腐敗した食品や農薬など肝臓に毒性をもつものを摂取したり、直接触れたりすることが原因となって起こる、肝臓に対する傷害のことを指します。
原因
猫において肝毒性を起こす可能性のある治療薬
・人用の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン・アスピリン)
・抗真菌薬(グリセオフルビン・ケトコナゾール)
・抗生物質(テトラサイクリン)
・抗不安・抗けいれん薬(ジアゼパム)
・抗不整脈薬(アミオダロン)
・エッセンシャルオイル など
猫において肝毒性を起こす可能性のある環境毒
・マツ油+イソプロパノール(テレピン油)
・無機ヒ素剤
・タリウム
・リン化亜鉛(殺鼠剤)
・アフラトキシン(カビ毒)
・トルエン(シンナー)
・フェノール(防腐剤、消毒液、農薬) など
症状
初期症状として、嘔吐や下痢、食欲不振などがみられることが一般的です。
重篤になると肝炎にまつわる症状(黄疸、昏睡、震え、けいれん)がみられ、最悪の場合命に関わる恐れもあります。
検査・診断
肝障害を疑う症状がみられた場合、薬物や毒物への接触歴がないかを問診します。
血液検査、X線検査、エコー検査で、肝臓にどの程度のダメージがあるのかを調べます。
治療
中毒性肝炎の治療は以下のとおりです。
内科治療
・毒物による急性の肝炎が疑われる場合には、それ以上の接触や吸収をしないよう防ぎ、中毒に対する治療を開始します。
・薬物による急性の肝炎が疑われる場合には、薬物の投与を中止して、輸液などの対症療法をおこないます。
病院探しのポイント
緊急治療が必要な場合があります。摂取の可能性や疑わしい症状があるときは至急診てもらえる病院を探しましょう。また、このような緊急事態に備えて、かかりつけのの病院の休診日や夜間診療をしている病院をあらかじめ調べておきましょう。
予防
肝臓に毒性のある毒物や薬物との接触は避けましょう。
とくに、エッセンシャルオイルはさまざまな種類で肝毒性があることが知られているため、使用しないようにしてください。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
獣医師
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ