みぎだいどうみゃくきゅういざん 右大動脈弓遺残 [猫]
概要
胎子のときに大動脈が異常な位置に形成されることで食道を巻き込んでしまい、食道の一部が狭くなってしまう病気です。
基礎知識
本来は発達しないはずの右大動脈弓と、動脈管策(胎子の時に大動脈と肺動脈をつないでいた血管)、肺動脈の3つでつくられた血管輪と呼ばれる構造の中に食道が入ってしまうことで、食道の一部が圧迫されて狭くなり、それより前方(口側)は食べ物が滞って食道が拡張してしまう病気です。
猫では極めてまれな病気です。
原因
この病気は遺伝的な要因が関与しているとされています。
症状
子猫に離乳食を与え始める頃に、食事の直後に吐く、ミルクは飲めるが固形物を与えると吐く、などの症状がみられます。 この病気の子猫は吐出や嘔吐を繰り返すため、食欲は旺盛なのに痩せているなどの発育不良を起こしがちです。
また、吐いた食べ物が気管や肺に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を引き起こし、最悪の場合死に至ることもあります。
検査・診断
・レントゲン検査やバリウム検査で食道の状態を確認し、そのほかの症状や年齢も合わせて総合的に診断します。
・この病気が強く疑われる場合には、CT検査を行うことで、異常な血管やその周辺の構造をより詳しくを調べることができます。
治療
右大動脈弓遺残の治療は以下のとおりです。
内科治療
食事療法が重要です。狭くなった食道を食べ物がスムーズに通過できるよう形状を工夫したり、口から胃までを進みやすくするために後ろ足で立ち上がった状態でフードを与えたり(テーブルフィーディング)します。
外科治療
根治には外科手術が必要です。
手術後の経過は病気の進行度合いによりますが、軽度の場合でも食事療法を続けることが大切です。
病院探しのポイント
検査や治療のために設備が整っている病院を紹介されることもあり、紹介先での治療が終了しても、かかりつけ医での定期的な通院が必要となる場合もあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
予防
この病気の予防法は、残念ながらありません。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
獣医師
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ