じょうどうこうどう 常同行動 [猫]
概要
不安障害の一つで、欲求不満やストレスがたまった場合や、どうしたらいいのかわからなくなった時に、全く関係のない行動を繰り返すなどの症状を常同行動といいます。
基礎知識
過度なグルーミングや尾を追いかける行動をしますが、これらの行動自体には何の意味もなく、繰り返し行動をすることでストレス解消をしているとされています。
年齢・品種・性別に関わらず発症します。
平均発症年齢は24〜48ヵ月齢で、社会的成熟期と呼ばれる時期に多く見られます。
原因
原因はさまざまですが、不安や退屈、引っ越しや家族構成の変化などによる環境の変化、コミュニケーション不足、欲求不満(ケージや狭い部屋に入れられている時間が多いなど)から起こるとされています。
症状
尾追い(尻尾を追いかけてぐるぐる回る)、過剰なグルーミング(舐め、引っ掻き)、タオルや毛布に吸い付く・食べようとするなどが猫の代表的な症状です。
これらの症状が悪化すると、尾を噛みちぎってしまったり、なめ壊した部分が腫れたり出血するなどの自傷行動に発展する恐れがあります。
検査・診断
詳細な問診と診察室での行動観察、および自宅での行動を動画で確認するなどにより診断します。
常同行動は、「明らかな目的をもたない行動が繰り返し認められる」場合に疑われます。その繰り返す行動が、正常のグルーミングや毛布吸いの範疇を超えているのかどうかを見極めます。
鑑別が必要な疾患(脳神経疾患、皮膚疾患、疼痛を伴う疾患、感染症、内分泌疾患など)を除外するために、血液検査や尿検査、ホルモン検査、神経学的検査、皮膚検査などを行う場合があります。
治療
常同行動の治療は以下のとおりです。
・猫にとって生活環境が安定し、快適であることは非常に重要なため、生活環境や飼育状況を見直します。例えば、隠れられるような箱やキャットタワーを設置し、トイレや爪研ぎ、水皿、おもちゃなどが清潔かつ適切であるかをチェックします。
・過度のグルーミングにより皮膚炎や脱毛がみられる場合や、自傷行動がみられる場合には、エリザベスカラーの着用などを試みます。
・行動治療や薬物療法などの治療が必要となる場合もあります。
病院探しのポイント
検査や治療のために設備を持っている病院に紹介されることもあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
予防
猫にとって安全かつ快適な生活環境を整えてあげることが重要です。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
獣医師
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ