くっしんぐしょうこうぐん クッシング症候群 [猫]

概要

副腎皮質機能亢進症とも呼ばれます。
副腎という臓器から、コルチゾールというホルモンが過剰に分泌されることで発症します。

基礎知識

中年齢以降で発症が多く認められていますが、猫での発生はまれです。自然に発症する場合と、ほかの病気の薬物治療が原因で発症する場合があります。
自然に発症する場合は下垂体依存性と、副腎性があります。

下垂体依存性副腎皮質機能亢進症
下垂体という脳の一部からコルチゾールの分泌を指示するホルモンが過剰に分泌されることで発症します。多くは下垂体の腫瘍が原因です。猫の自然発症のクッシング症候群はこのタイプが80%を占めているといわれます。

副腎性副腎皮質機能亢進症
副腎自体が腫瘍化してしまい、過剰にコルチゾールを分泌することで発症します。

ほかの病気の薬物治療が原因で発症する場合は、医原性副腎皮質機能亢進症と呼ばれます。ステロイド剤を大量に長期間服用した場合などに発症することがあります。また、同時に糖尿病を発症しているケースがほとんどです。

原因

脳や副腎の腫瘍により、過剰にコルチゾールが分泌されることが原因です。

症状

主な症状は以下のとおりです。
・たくさん水を飲む
・尿量が増える
・筋力が低下する
・お腹が膨れる
・左右対称に痒みのない脱毛が起こる
・皮膚が薄くなる
・傷が治りにくくなる

下垂体腫瘍が原因で発症した場合は、夜鳴きや元気食欲の低下などの神経症状が認められる場合もあります。

検査・診断

症状、病歴、血液によるホルモン検査、エコー検査、また、必要に応じてレントゲン検査、MRI、CTなどの画像検査を行い総合的に診断します。

治療

クッシング症候群の治療は以下のとおりです。
自然発症の場合は、内科療法と外科療法、放射線療法が適応になりますが、現在のところ内科療法が一般的です。

内科療法
最も一般的な治療です。内服薬を使用して、ホルモンの合成を阻害します。
内科的な治療の場合、生涯に渡る投薬が必要になります。

外科療法
手術で、腫瘍化した副腎や下垂体を切除します。

放射線療法
腫瘍化した下垂体に対して行います。特に下垂体のサイズが大きい場合や、神経症状が出ている場合に勧められます。

いずれの治療の場合でも、定期的な血液のホルモン検査が必要になります。
医原性副腎皮質機能亢進症の場合は、徐々にステロイド剤を減らして、投薬をやめるようにします。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・ネコちゃんのストレスを軽減するために、アクセスの良い場所にキャットフレンドリーな病院があるか探してみるのもよいでしょう。

予防

現在のところ予防法はありません。

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監修

獣医師 西川身和

獣医学科卒業後、一般動物病院勤務、大学病院研修医勤務、動物福祉を学ぶ海外渡航などを経て、現在は動物の健康しつけ相談を行いながら、動物の健康や福祉に関する情報を発信しています。

愛猫4匹とまったり暮らしつつ、人間と動物のより良い関係づくりに日々奮闘しています。