しゅよう、しゅりゅう 腫瘍、腫瘤 [猫]
概要
腫瘍とは体の臓器や組織をつくる細胞が、本来のルールとは逸脱して過剰に増殖してできる塊のことをいいます。また、腫瘤とは体や臓器にできる塊のことをいいます。
つまり、腫瘍によって腫瘤ができていることもあれば、腫瘍以外の病気で腫瘤ができることもあります。一般的には、検査や触診でわかる塊を腫瘤と呼び、検査により腫瘍か否かを判断していきます。
基礎知識
腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。
良性腫瘍とは全身的な影響が少なく限定的で、命を脅かすような恐れが少ないものをいいます。
一方で悪性腫瘍とは全身的な影響が大きく、命を脅かすような恐れが大きいものをいいます。
また、一般的に良性腫瘍は進行速度が遅いのに対し、悪性腫瘍は進行速度がとても速いことが知られています。
原因
腫瘍の原因は種類により様々ですが、主に外からの刺激で発生するもの(外因的)と遺伝などの原因(内因的)に分けられます。
外因的な要因
・化学的原因:化学物質や大気汚染物質や食品添加物など
・物理的原因:放射線や紫外線や熱刺激など
内因的な要因
・遺伝子や品種、性別、年齢など
これらが重なり合うことで起こるとされています。
また、腫瘤の原因としては腫瘍以外では以下のようなものがあげられます。
・膿瘍:膿がたまっているしこり
・血腫:血がたまっているしこり
・嚢胞:何かしらの空洞ができてしまうしこり
・慢性的な刺激や炎症によるしこり
症状
腫瘍の種類や経過により様々です。
多くの場合、腫瘍が小さいときは明確な症状がありません。それでも性格により気になっている場所をなめるなどの症状がみられたり、少しだけ元気や食欲がなくなることなどがあります。
しかし、腫瘍が進行したり大きくなるに従い、局所的な症状から全身的な症状までありとあらゆる症状がみられます。悪性腫瘍の場合は、一度みられた症状はなかなか消えず、ほかの症状が増えていくことが多いです。
検査・診断
腫瘍ができている場所を詳細に調べるのと同時に全身状態の把握と転移の有無などを検査する必要があります。そのため、腫瘍を疑う場合には、血液検査、レントゲン検査、エコー検査などで全身を見ていく必要があります。
腫瘤が腫瘍かどうかを調べるためには、その腫瘤を針で刺して細胞を採取し病理学的に調べるFNAという検査を実施することが多く、部位により全身麻酔や内視鏡が必要になることもあります。
最終的な腫瘍の種類を診断するには腫瘍の種類により実施する検査が異なります。より詳細な検査が必要な場合や治療計画をたてるためにCTやMRIを撮影することもあります。
治療
腫瘍の治療は以下のとおりです。
良性腫瘍の場合は、手術で摘出することで経過が良いことが多いです。
悪性腫瘍の場合は外科治療、内科治療、放射線治療、そのほかの治療から腫瘍と全身の状態に合わせて単独、または複数を組み合わせて治療を行います。
外科治療
外科的に腫瘍を摘出します。減容積といって一部を摘出する場合もあります。
内科治療
抗がん剤や分子標的薬といった薬を飲み薬や点滴や注射などの方法で投与します。
放射線治療
放射線を照射することで腫瘍細胞を破壊します。治療ができる病院は全国でも多くないため、病院を探す、または紹介してもらった病院で治療を行う場合があります。
そのほかの治療
免疫細胞治療、東洋医学、サプリメントなど多岐にわたる治療法があります。根治を目指すのではなく腫瘍の進行を抑えたり、元気食欲を増進させることを目的に行う補助的な治療という考え方が一般的です。
病院探しのポイント
・治療のために設備を持っている病院に紹介されることもあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
・長期の通院や定期的な検査が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
・ネコちゃんのストレスを軽減するために、アクセスの良い場所にキャットフレンドリーな病院があるか探してみるのもよいでしょう。
予防
腫瘍の発生を予防することは困難です。
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監修
アイペット損保 獣医師チーム
アイペット損害保険株式会社
獣医学科卒業後、動物病院にて小動物臨床に従事。現在はアイペット損保に勤務。
獣医師であり飼い主/ペット栄養管理士の資格取得
アイペット損保を通じて、飼い主さまがにワンちゃんネコちゃんと幸せに暮らすための情報をお伝えしていきたいと思っています。
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