えんしょうせいちょうしっかん 炎症性腸疾患 [猫]
概要
腸に炎症の細胞が集まり、慢性的な炎症が起こる病気の総称です。原因は不明です。
基礎知識
炎症性腸疾患は、炎症細胞の種類などを調べる病理検査によって「リンパ球形質細胞性腸炎」「好酸球性腸炎」「肉芽腫性腸炎」「組織球性潰瘍性腸炎」「免疫増殖性腸炎」などに分けられます。
重症化すると蛋白漏出性腸症を発症することがあります。
炎症性腸疾患はほかの病気の可能性がないことを調べていく除外診断によって診断されます。ただし、正確な診断は難しく、特にリンパ腫との区別が付きづらい病気です。
原因
炎症性腸疾患の原因はわかっていませんが、食べ物や細菌、寄生虫などに対する免疫反応が関連している可能性があると推測されています。
症状
慢性的な下痢や軟便、嘔吐、食欲が不安定になる、体重が減少する、元気がない、お腹を痛がるといった症状がみられることがあります。
検査・診断
血液検査、レントゲン検査、エコー検査で腸の様子を観察すると共に、ほかの病気がないかを確認します。ホルモン検査などを行う場合もあります。また、診断が確定する前から食事療法を開始して、その反応から病気を絞ることもあります。
より正確な確定診断のためには、全身麻酔をかけて内視鏡検査や開腹手術をして、腸の状態を確認したり、腸の一部をとり病理検査をする必要があります。
治療
炎症性腸疾患の治療は以下のとおりです。
内科治療
アレルギーに配慮した特別療法食での食事治療を行います。抗生剤、ステロイドなどの免疫抑制剤を病気の状態によって使い分けます。
基本的に治療は長期におよび、生涯にわたり治療が必要なことも多くあります。
全身状態が悪くなっていたり、痩せる前に治療を開始できない場合、経過はよくありません。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合はかかりつけ医に相談しましょう。
・長期の治療が必要となるため、アクセスの良い病院がよいでしょう。
予防
残念ながら予防法はありません。
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監修
獣医師 森敦奈
ダクタリ動物病院京都医療センター
獣医師
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、ダクタリ動物病院京都医療センターにて小動物臨床に従事。
動物医療を通じて、人と動物が共存して暮らせる社会を目指しています。
皆さんが病気辞書を活用して下されば嬉しいです。
ダクタリ動物病院京都医療センターホームページ