にゅうせんしゅよう 乳腺腫瘍 [猫]
概要
高齢のメス猫に多く発生する、乳腺領域にしこりができる腫瘍です。
猫ではその85〜95%が悪性とされています。
基礎知識
猫では全体の腫瘍のうち17%を占め、比較的発生の多い腫瘍とされています。
高齢のメスに多く、とくに避妊手術を受けていない猫での発生率が高いです。
生後12ヵ月以内に避妊手術を受けた猫では、それ以降に手術を受けた猫と比較して発生率が明らかに低くなることがわかっています。
原因
性ホルモンの関連が示唆されています。
症状
乳腺領域にしこりができます。
一般的に、悪性腫瘍は大きくなるスピードが速く、皮膚の表面が赤く腫れたり、ただれたりすることがあります。ただし、非常に悪性度の高い炎症性乳がんの場合にはしこりをつくらず、乳製部の皮膚が炎症を起こして赤く腫れたり、ただれたり、むくんだりして痛がることがあります。
検査・診断
猫の乳腺は4対あり、その周辺にしこりができている場合に乳腺腫瘍を疑います。身体検査でしこりの位置を把握し、そのほかの腫瘍(肥満細胞腫やリンパ腫など)との鑑別のために、細い注射針で細胞を採取する「細胞診」を行います。
また、レントゲン検査やエコー検査、CT検査などで、近くのリンパ節や肺などへの転移がないかを調べます。手術で腫瘍を切除した場合には、病理検査で確定診断します。
治療
乳腺腫瘍の治療は以下のとおりです。
外科療法
第一選択は外科療法です。
猫の乳腺腫瘍は悪性が多く転移率も高いことから、しこりが発生している左右どちらか、または両方の乳腺を全て摘出する手術が選択されます。
しこりの切除とあわせて、リンパ節の切除をしたり、避妊していない場合には子宮と卵巣を同時に摘出したりする場合もあります。
内科療法
リンパ節や全身への転移が認められた場合には、化学療法(抗がん剤治療)を行う場合もあります。
病院探しのポイント
獣医師としっかり話し合い治療を進めていく必要があります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
予防
生後12ヵ月齢までに避妊手術を受けることが、乳腺腫瘍の予防につながります。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
獣医師
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ