全身から心臓へ戻ってきた血液は、右心房・右心室・肺動脈を通って肺へ運ばれ、たくさんの酸素を含んでまた全身へと送られます。
肺動脈弁が狭くなると、心臓から肺へ流れる血液が滞り、酸素を含んだ血液が全身に行き渡らなくなります。その結果、低酸素による様々な症状が見られます。

猫では極めてまれな病気ですが、その原因のほとんどが先天性とされています。

・狭窄が軽度〜中程度では無症状のことが多く、健康診断の際などに心雑音が聴取されて発見されるケースが多いです。
・重症例では、右心不全の症状（腹水や胸水の貯留、むくみ、失神など）や呼吸困難がみられる場合もあります。

・身体検査で心雑音が聴取されます。
・レントゲン検査や心電図検査で、心臓の右側の拡大を示す所見がみられる場合もあります。
・心エコー検査で、肺動脈が狭くなっていることを確認し、診断します。

肺動脈狭窄症の治療は以下のとおりです。

内科治療
・狭窄が軽度で無症状の場合には、無治療で経過観察を行います。

・中等度の場合には、心臓の負担を軽減する目的で、心拍数を下げる薬や血圧をコントロールする薬を使用します。

・重症の場合には、これらの薬に加えて利尿剤を使用します。

外科治療
狭窄が重度の場合には、皮膚に開けた穴から心臓内に風船状に膨らますことのできるバルーンカテーテルを入れて狭窄している部分を広げる処置（インターベンション）を行う場合があります。

生涯付き合っていく可能性のある病気です。検査や治療のために設備が整っている病院を紹介されることもあり、紹介先での治療が終了しても、かかりつけ医での定期的な通院が必要となる場合もあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。

多くが先天性のため、この病気の予防法は残念ながらありません。