ぜんじゅうじじんたいだんれつ 前十字靭帯断裂 [犬]

概要

前十字靭帯とは、膝の部分にある十字型の靭帯です。
太ももやすねの部分の骨を正常な位置に留め、正常な動きができるように調整する役割を担っています。この前十字靭帯が傷ついてしまうことを、前十字靭帯断裂といいます。

基礎知識

前十字靭帯断裂には
・急性断裂
・慢性断裂
・部分断裂
の3種類があり、それぞれ症状が異なります。

原因

前十字靭帯断裂を引き起こす要因は様々です。
・加齢や免疫疾患、内分泌疾患などの病気により靭帯自体がもろくなる
・肥満や膝蓋骨脱臼などにより、前十字靭帯にかかる負担が大きくなる

膝関節が曲がりすぎたり、伸びすぎたりという無理な力が加わるタイミングで、前十字靭帯が断裂してしまうことがあります。

症状

断裂の状態によって、症状は異なります。

急性に断裂をした場合は、突然足をつけて歩行できなくなったり、足をかばうような歩き方を起こします。数日たつと通常通りに歩けるようになる場合もあります。慢性化すると関節自体が変形や歪みを生じて、繰り返し異常な歩行が認められます。特に運動後などに症状が出ることが多いです。

部分的に断裂した場合は、最初は運動後などに異常な歩行を起こし、少し休むと治るという症状を繰り返します。

検査・診断

体を触ったり歩かせたりしながら症状を確認し、レントゲン検査によって診断されます。
症状を示さないことも多いので、検診時やそのほか疾患でのレントゲン検査時に偶然に発見されることが多いです。レントゲン検査ではくちばし状に骨がのびている所見が認められます。

治療

前十字靭帯断裂の治療は以下のとおりです。

体重の軽い小型犬の場合は内科治療で症状が治まることが多いですが、痛みが続く場合は外科治療を行うことがあります。
特に中型犬以上では膝の負担が大きいために、続発して関節の変性や炎症を起こす可能性が高いため、診断がついた時点で外科手術を行うことが推奨されています。

内科治療
安静にさせることと内服による痛みや炎症の管理を行います。

外科治療
膝関節の機能を維持しながら、関節を安定させるための手術を行います。

病院探しのポイント

検査や治療のために設備が整っている病院を紹介されることもあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。

予防

膝蓋骨脱臼、内分泌疾患、免疫介在性疾患を患っている犬では、発症しやすくなりますので、膝に負担のかかる過度な運動や体重の管理には気をつけましょう。

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監修

獣医師 西川身和

獣医学科卒業後、一般動物病院勤務、大学病院研修医勤務、動物福祉を学ぶ海外渡航などを経て、現在は動物の健康しつけ相談を行いながら、動物の健康や福祉に関する情報を発信しています。

愛猫4匹とまったり暮らしつつ、人間と動物のより良い関係づくりに日々奮闘しています。