たんしょくひもうだつもうしょう 淡色被毛脱毛症 [犬]
概要
ブルー(青みがかった灰色)やフォーン(薄茶色)などの淡い色の被毛を持つ犬でみられる脱毛症です。
基礎知識
皮膚で被毛がつくられる際、被毛の色を決めるメラニン化の過程で異常が生じ、被毛が折れやすくなってしまいます。それによって脱毛が生じる先天的な病気です。
原因
先天的な遺伝性の病気です。
メラニン色素の貯蔵や輸送に関わるメラノフィリン遺伝子(MLPH遺伝子)の変異が報告されています。
症状
淡色の被毛が折れやすくなることで、脱毛症状を示します。そのため、顔面や四肢の先端、肘、かかと、背中など、よく擦れる部位から脱毛が進行します。
毛包で細菌感染を起こすことがあり、かゆみや皮膚の赤み、発疹が生じる場合があります。
類似の症状を示す病気として、黒い被毛が折れやすくなる「黒色被毛形成異常症」という疾患もあります。
検査・診断
被毛を抜いて顕微鏡で観察します(被毛検査)。
この病気では、顕微鏡でメラニンクランプと呼ばれるメラニン色素の大きな顆粒が見られます。
皮膚の一部を切り取り病理検査を行う場合があります。
治療
淡色被毛脱毛症の効果的な治療法はありませんが、毛が折れやすくなっているため、物理的な刺激を避けるようにします。
内科治療
細菌感染がある場合は、外用薬あるいは内服にて抗菌薬を用います。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
・複数回や長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
予防
現時点で予防法はありません。
遺伝性疾患ですので、発症した犬は繁殖させるべきではありません。
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監修
獣医師 松本裕子
マツモト動物クリニック
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北里大学大学院博士課程を修了。獣医学博士。日本獣医皮膚科学会認定医を取得。
現在は、愛知県豊橋市のマツモト動物クリニックに勤務。
犬2頭、猫3頭と暮らしています。
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