にんちしょう 認知症 [犬]
概要
高齢期に認知機能が徐々に低下していった結果、さまざまな行動障害がみられるようになることを認知症(認知機能不全症候群)といいます。
基礎知識
犬の認知症が発生するメカニズムはまだ不明な点が多いですが、人の認知症と似ていると考えられています。
原因
加齢に伴う脳内のさまざまな変化との関連が示唆されていますが、原因は未だ解明されていません。
症状
認知症に伴う行動障害には以下のカテゴリーがあります。
・見当識障害:家の中で迷う、角で行き詰まる
・社会的交流の変化:飼い主さんに無関心
・睡眠サイクルの変化:夜間の活動、夜鳴き
・学習した行動の変化:排泄の失敗、コマンドの忘却
・活動の変化:ウロウロと歩き回る、活動性の減少
症状の出方には個体差がありますが、犬ではウロウロと歩き回る行動や、角や隙間で行き詰まる行動が高頻度でみられます。
また、視覚や感覚機能の低下に伴い、ふらつき・転倒・歩行や姿勢の異常を併発することもあります。
検査・診断
認知症で特徴的な行動障害が出ているかを評価します。併せて行動障害がほかの疾患によるものではないかを診断するため血液検査やMRI検査などを行うことがあります。
治療
認知症の治療は以下のとおりです。
それぞれの治療・ケアを総合的に実施します。
内科療法
薬物療法、サプリメントの服用
食事療法
飼育環境の整備とケア
・角や隙間に行き詰まる場合には、円形サークルを導入したり生活空間を整えて危険を回避する
・寝場所、食事、水飲み場、トイレはある程度近くにまとめて移動の負担を減らす
・適度な刺激と運動を日常に取り入れる など
根治は難しく、症状は緩やかに進行していきます。
病院探しのポイント
検査や治療のために設備を持っている病院に紹介されることもあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
予防
残念ながら、予防法はありません。早期に発見してケアができるように、いつもと様子が少しでも異なる場合は動物病院を受診しましょう。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ