とくはつせいむきんせいしぼうしきえん 特発性無菌性脂肪織炎 [犬]
概要
皮下脂肪の組織の中で起きる炎症を皮下脂肪織炎と言います。菌の感染がなく、ほかに明らかな原因が見つからないものを、特発性無菌性脂肪織炎と呼びます。
基礎知識
ミニチュア・ダックスフンドで発生が多いとする報告があります。
原因
原因はわかっていません。免疫反応が関わっていると考えられています。
症状
皮下にひとつ~複数の結節(しこり)が生じます。結節は固く触れる場合もありますが、柔らかいものや境界がわかりにくいものもあります。結節の大きさは数mmから数cmと様々です。熱感や痛みを伴う場合もあります。
結節が壊れると、体表に膿(うみ)の排出を認めます。結節が多発すると、発熱や元気・食欲の低下が生じる場合があります。
膵臓の病気や多発性関節炎の併発も報告されています。
検査・診断
針を刺して細胞を顕微鏡で見る検査を行います。
触診や細胞診でこの病気が疑われる場合は、皮膚の一部を切り取り病理検査を行い、診断します。
また、血液検査などで全身の状態をチェックします。
治療
特発性無菌性脂肪織炎の治療は以下のとおりです。
内科治療
免疫を抑える薬
注射あるいは内服で投与します。症状が良くなった場合、薬は徐々に減らしていきます。
外科治療
一つの小さなしこりであれば、手術で切除する場合があります。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
・複数回や長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
予防
現時点で予防法はありません。
部位
監修
獣医師 松本裕子
マツモト動物クリニック
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北里大学大学院博士課程を修了。獣医学博士。日本獣医皮膚科学会認定医を取得。
現在は、愛知県豊橋市のマツモト動物クリニックに勤務。
犬2頭、猫3頭と暮らしています。
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