たんかんえん 胆管炎 [猫]
概要
胆管に炎症が起こり、消化管への胆汁(消化液)の排泄がうまくいかなくなる病気です。胆汁が肝臓の中で滞ってしまうため、肝臓に様々な障害がおこります。
基礎知識
・年齢や性別に関係なく発症しますが、若齢〜中年齢の雄猫に多いという報告もあります。
・膵炎や腸炎を同時に起こす場合を、三臓器炎といいます。
原因
明らかな原因は不明ですが、消化管内の細菌が胆管へ感染を起こしたり、自己免疫疾患によって胆管に炎症が起こると考えられています。
症状
細菌感染が原因の胆管炎では、食欲・元気の低下、発熱、嘔吐や下痢がみられます。進行すると脱水や黄疸を引き起こします。
自己免疫疾患が原因の胆管炎では、元気や食欲に波があり、徐々に体重が減少します。腹水が貯まる場合もあります。
検査・診断
・血液検査で炎症の数値および肝臓や胆嚢の数値の上昇がみられます。
・エコーやレントゲン検査で、胆管や肝臓を確認します。
・肝臓や胆嚢の針吸引検査で、細菌感染の有無を確認します。
・開腹手術や腹腔鏡検査で、肝臓の病理組織検査を行う場合もあります。
治療
胆管炎の治療は以下のとおりです。
内科治療
・細菌感染が原因の場合は、抗生剤や肝機能をサポートする薬を中心に投薬し、状態に応じて吐き気止めや点滴、強制給餌などを行います。
・自己免疫疾患が原因の胆管炎は、これらの治療に加え、ステロイドなどの免疫抑制剤を使用します。
胆管炎に腸炎や膵炎を併発している場合には、経過が良くない場合があります。
病院探しのポイント
・獣医師としっかり話し合い治療を進めていく必要があります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
・長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
予防
予防法はありません。
元気や食欲に波があったり、嘔吐を繰り返す場合には、早めに動物病院を受診しましょう。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
獣医師
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ