まんせいじんぞうびょう 慢性腎臓病 [猫]
概要
両側あるいは片側の腎臓の異常が3か月以上継続している状態を慢性腎臓病といいます。
完治は望めませんが、治療によりQOL(生活の質)の改善や、生存期間を延ばすことが期待されます。

基礎知識
腎臓は左右に1つずつあります。
両側あるいは片側の腎臓において、機能や構造の異常が3か月以上続いている場合を慢性腎臓病といいます。
早期に診断し治療することで、生存期間やQOL(生活の質)を改善することができます。
原因
さまざまな腎疾患(糸球体腎炎、間質性腎炎、腎盂腎炎、家族性・先天性腎疾患など)が原因となって、腎臓の機能が徐々に低下していくことで発症します。
症状
慢性腎臓病は4つのステージに分類されていて、症状はステージによって異なります。
・早期の場合、目立った症状はありません。
・ステージが進行するにつれて尿量や飲水量が増加し、体重が減ったり食欲が落ちたりします。
・さらに進行すると、体の中の老廃物を尿として排出できなくなり、「尿毒症」に陥ります。尿毒症では、嘔吐、尿が少なくなる、筋肉の減少などがみられます。
・最終的には全く尿が出なくなり、これまでの症状に加えて痙攣や昏睡などの症状がみられる場合もあります。
検査・診断
身体検査、血液検査、尿検査、血圧測定、画像検査などによって診断します。
慢性腎臓病は、これらの異常が慢性的(およそ3か月)に持続していることが定義となるので、検査は複数回行います。
治療
慢性腎臓病の治療は以下のとおりです。
原因となる疾患や病気のステージ、合併症の有無によって治療法が異なります。
内科治療
・原因となる疾患が分かっている場合には、その治療を行います。
・初期の場合は、腎臓病用の療法食を用いた食事療法が中心となります。尿量が増えると脱水しやすいため、新鮮な水を十分に飲めるように環境を整えます。高血圧や蛋白尿が見られる場合には、それぞれに対する治療を行います。
・進行すると、貧血、高リン血症、脱水などがみられるようになります。貧血には鉄剤や造血を促す薬の投与、高リン血症にはリン吸着剤の投与、脱水には点滴などの治療を行います。
そのほか
末期には透析治療も選択肢となりますが、実施できる施設は限られています。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
・長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
・ネコちゃんへの負担を軽減するために、アクセスのよい猫専門病院があるか探してみるのもよいでしょう。
予防
早期に発見して治療を開始することで、QOL(生活の質)を改善し、生存期間を延長させることが期待できます。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
獣医師
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ