たはつせいのうほうじん 多発性嚢胞腎 [猫]
概要
腎臓の中に、液体のたまった袋状の嚢胞(のうほう)がいくつもできて、腎臓の機能が徐々に落ちていく病気です。
基礎知識
嚢胞は袋状になっており、中には液体がたまっています。左右両方の腎臓にできることが多いです。
原因
多発性嚢胞腎は遺伝性の病気と考えられています。
特にペルシャ系の長毛種やアメリカン・ショートヘアなどに多く、若齢のうちに発症します。
症状
嚢胞が大きくなったり増えたりすることで腎臓の正常な組織を圧迫し、腎不全を引き起こします。
腎不全の症状としては、元気や食欲がなくなる、嘔吐、多飲多尿(尿の量が多くなることで飲水量が増える)、脱水などがあります。お腹を触ることで大きくなった腎臓を確認できる場合もあります。
検査・診断
主にレントゲン検査やエコー検査で腎臓の形や大きさ、嚢胞の有無を確認し、腎臓腫瘍などほかの病気を除外することで診断します。嚢胞が確認された場合は、診断時に腎不全などの症状がみられなくても、定期的な検診がすすめられます。
治療
多発性嚢胞腎の治療は以下のとおりです。
内科治療
抗生剤
感染が起きている場合に投与します。
腎臓の薬
腎臓の働きをサポートします。
皮下点滴
腎不全による脱水を改善したり、体の中の老廃物の排出を促します。
食事療法
腎臓の負担を減らすための特別療法食を与えます。
処置
穿刺(せんし)
嚢胞が大きくなることによって痛みが出ている場合に行うことがあります。
お腹の皮膚から腎臓に針を刺し、嚢胞の中の液体を抜くことによって、一時的に痛みを軽くすることができます。
腎臓の組織は一度傷害されてしまうと再生できないため、腎不全の進行を遅らせることが治療の目的となります。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
・長期の通院や定期的な検査が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
・ネコちゃんのストレスを軽減するために、アクセスの良い場所にキャットフレンドリーな病院があるか探してみるのもよいでしょう。
予防
現時点では有効な予防法はありませんが、多発性嚢胞腎の発症には遺伝が関与しているため、繁殖の際にはこの病気の有無を確認することが望ましいでしょう。
また、この病気を発症しやすい猫種では若いうちに検査を行うことで、早期発見できるようにしておきましょう。
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監修
アイペット損保 獣医師チーム
アイペット損害保険株式会社
獣医学科卒業後、動物病院にて小動物臨床に従事。現在はアイペット損保に勤務。
獣医師であり飼い主/ペット栄養管理士の資格取得
アイペット損保を通じて、飼い主さまがにワンちゃんネコちゃんと幸せに暮らすための情報をお伝えしていきたいと思っています。
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