尿管は左右に１本ずつあり、腎臓を膀胱につなぐ役割をしています。

猫の尿管閉塞は約90％が尿管結石によるもので、その中でも90%以上がシュウ酸カルシウム結石と報告されています。

尿管結石、膀胱三角部（尿管が膀胱に入る部分）の腫瘍、尿管の繊維化などが原因となりますが、最も一般的なのは尿管結石による閉塞です。

一般的には、元気や食欲がなくなる、体重減少、嘔吐、腹痛、血尿などの症状がみられます。

閉塞が片側のみの場合には、明らかな症状を示さないこともあります。

左右の尿管が同時に閉塞すると全く尿が出なくなり、急激に体調が悪化します。命に関わるため、早急な治療が必要です。

身体検査、血液検査、尿検査、画像検査を行います。

原因を調べるためには画像検査が重要で、X線検査では結石の有無や個数、腎臓の大きさなどを確認します。

エコー検査では、腎臓の異常や尿管の拡張、結石の有無を確認します。

これらの検査で原因の特定が難しい場合は、CT検査が必要となることもあります。

尿管閉塞の治療は以下のとおりです。

外科治療
猫の尿管結石に多いシュウ酸カルシウム結石は食事療法では溶けないため、腎臓への負担が大きい場合には、外科治療が選択されます。

尿管切開術
尿管を切開して中の石を取り出す手術

尿管ステント留置術
尿管にチューブを設置して塞がらないようにする手術

SUBシステム設置術
腎臓と膀胱をつなぐ新たなルートをつくる手術

いずれの方法も高度な技術や設備を必要とするため、実施できる施設は限られています。

状態が安定している場合には手術適応とはならないケースもあり、内科治療が行われます。

・検査や治療のために設備を持っている病院に紹介されることもあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。

・緊急治療が必要となることが多いので、急ぎ診てもらえる病院を探しましょう。また、このような緊急事態に備えて、かかりつけの休診日や夜間診療をしている病院をあらかじめ調べておきましょう。

結石を作りにくくすることが、尿管閉塞の予防につながります。

・飲水量を増やし、尿をたくさん作って排尿をスムーズにさせることで、結石の予防につながります。
・飲水量を増やすために、水入れの数や種類を工夫するとよいでしょう。
・ミネラルを過剰に含んだ水（ミネラルウォーター、井戸水など）は与えないようにしましょう。
・結石ができやすい体質の場合には、食事療法を徹底しましょう。