ばべしあしょう バベシア症 [犬]

概要

赤血球に寄生するバベシアという寄生虫による感染症です。
赤血球が壊れてしまうことで貧血や血色素尿(赤い尿)、発熱が生じます。

基礎知識

バベシアは、マダニによって媒介される寄生虫で、西日本を中心に広く分布しています。

血液を介しても感染するため、輸血や闘犬時の血液の接触による伝播、胎盤を介した母犬から子犬への伝播も考えられます。

原因

バベシアの感染が原因となります。

症状

一部の犬では、致死性の重篤な状態に陥る場合がありますが、軽度だったり、症状の良化と悪化を繰り返す場合があります。子犬や老犬では致死率が高いと言われています。

貧血により粘膜が蒼白になる、あるいは赤血球が大量に壊れることで粘膜が黄色くなる(黄疸)、尿が赤くなる(血色素尿)、発熱、といった症状が見られます。

病院での検査では、脾臓やリンパ節の腫大、血小板減少症が認められる場合があります。

検査・診断

血液検査を行い、顕微鏡によって寄生虫を検出することで診断します。

貧血の程度や寄生虫の増殖の程度などにより、検出が困難な場合は、抗体価検査が行われることがあります。

治療

治療によって寄生虫を体内から完全に駆除することは、ほぼ不可能です。
貧血に対する治療と、寄生虫に対し効果のある薬を用いることで、症状を落ち着かせることが治療の目標となります。

内科療法
抗寄生虫薬の投与
注射あるいは経口で投与します。

点滴・輸血
症状の重症度によって実施される場合があります。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・複数回や長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

予防

一般的にはマダニの寄生を予防することで、感染を防ぐことができます。

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監修

獣医師 松本裕子
マツモト動物クリニック

北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北里大学大学院博士課程を修了。獣医学博士。日本獣医皮膚科学会認定医を取得。
現在は、愛知県豊橋市のマツモト動物クリニックに勤務。

犬2頭、猫3頭と暮らしています。


マツモト動物クリニックホームページ

https://www.matsumoto-ac.jp/