かん、たんどうけいしゅよう 肝、胆道系腫瘍 [犬]
概要
肝臓はほかの臓器からの転移が起こりやすく、半数は転移性の腫瘍です。
基礎知識
肝臓にできる主な腫瘍には、肝細胞癌、肝細胞腺腫、胆管癌、胆管腺腫、カルチノイド腫瘍、血管肉腫、リンパ腫などがあります。
犬では悪性腫瘍の方が発生率が高く、肝細胞癌や胆管癌が問題になることが多いです。
原因
明らかな原因はわかっていませんが、一部の腸管内寄生虫や、ヘリコバクター感染症が発生の要因の一つになると言われています。また、化学物質や放射線物質も発生率を上げると言われています。
症状
肝、胆道系腫瘍の一般的な症状としては、吐き気、下痢、食欲が落ちるなどの消化器症状があります。
また、大きくなった腫瘍や腹水の影響によってお腹が膨れて見えることがあります。
検査・診断
エコー検査やレントゲン検査から肝臓にある腫瘍を確認します。全身状態の把握には血液検査、腫瘍の状態の把握にはCT検査が有用です。
どんな腫瘍かを推測するためには、しこりに細い針を刺して中の細胞を確認する細胞診という検査も役に立ちます。
確定診断には病理検査が必要で、手術で組織を摘出することもありますし、細い針を刺して組織を採取する方法もあります。
治療
肝、胆道系腫瘍の治療は以下のとおりです。
外科手術
一部の腫瘍を除き、手術が第一選択となります。転移しているものや、肝臓の大半に広がっている腫瘍の場合は、手術できないことがあります。
内科治療
リンパ腫など一部の腫瘍には抗がん剤が選択肢の一つとなります。
病院探しのポイント
検査や治療のために設備が整っている病院を紹介されることもあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
予防
残念ながら、発症を予防することは困難です。
肝臓の腫瘍は症状を出さずに進行していくことが多いので、早期に発見できるように、定期的な健康診断などをおすすめします。
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監修
獣医師 吉田茉利子
花岡動物病院
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後、東京大学動物医療センター内科学診療科上級研修医課程を修了。現在は花岡動物病院勤務に従事。
日本獣医がん学会腫瘍科Ⅱ種認定医。
飼い主さんにも分かりやすい説明を心がけています。
ビーグル大好きです!
小さい頃の憧れは大型犬(もしくはやまいぬ)の背中に乗ることです!
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