ちゅうしゅ 肘腫 [犬]

概要

肘の関節にある滑液嚢(かつえきのう)で炎症が生じて漿液(しょうえき)が溜まり、肘が腫れてしまう病気です。
滑液嚢とは、滑液という粘りのある液体を含んだふくろで、腱や筋肉と骨が擦れる部位で摩擦を少なくするはたらきをしています。

基礎知識

若齢の大型犬で多く発生します。
ハイグローマや滑液嚢腫(かつえきのうしゅ)とも呼ばれます。

原因

体重の重い大型犬が、固い床で同じ姿勢を続けるなどして、慢性的に肘に荷重がかかることで生じると考えられています。

症状

肘が腫れている状態として認められます。多くの場合、痛みを示す様子は見られず、歩行にも影響しません。

進行すると痛みが出る場合があります。また、重症化すると潰瘍化したり、炎症が肘関節の軟骨や骨に広がる場合があります。

検査・診断

若齢の大型犬であることと、症状などから診断します。
針を刺して抜去した滑液の検査を行う場合があります。

治療

肘腫の治療は以下のとおりです。

内科治療
消炎薬の投薬
注射あるいは内服で使用することがあります。

処置
針を刺して貯留している液体を抜去する
多くの場合、溜まっては抜去することを複数回、繰り返します。一般的に、炎症が治まるとともに徐々に漿液が溜まりにくくなっていきます。

ドレーン(管)の留置
重症例などでは、液体を出すためのドレーンの留置を行う場合もあります。

そのほか
床材を変更したり、肘のサポーター等を使用して、肘への局所的な負担を軽減します。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・複数回や長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

予防

特に成長期の大型犬では、床材を工夫する、毛布を用いるなどして、固い床で同じ姿勢を続ける状況をできるだけ避けましょう。

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監修

獣医師 松本裕子
マツモト動物クリニック

北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北里大学大学院博士課程を修了。獣医学博士。日本獣医皮膚科学会認定医を取得。
現在は、愛知県豊橋市のマツモト動物クリニックに勤務。

犬2頭、猫3頭と暮らしています。


マツモト動物クリニックホームページ

https://www.matsumoto-ac.jp/