じょうひしょうたいきのうこうしんしょう 上皮小体機能亢進症 [犬]

概要

上皮小体ホルモンが過剰に分泌されることで起こります。

基礎知識

上皮小体は副甲状腺とも呼ばれ、「パラソルモン」というホルモンを分泌して体の中のカルシウムやリンの濃度を調整しています。

10歳以上の高齢犬で発生することが多いです。
また、キースホンドが発症しやすいという報告があります。

原因

上皮小体の腺腫(良性腫瘍)や癌が原因で、ホルモンが過剰に分泌されることで起こります。
また栄養バランスの悪い食事や、腎不全の進行に伴い発症することもあります。

症状

無症状の場合から重篤な全身症状を起こす場合まで様々です。上皮小体ホルモンの過剰分泌によって起こる高カルシウム血症の症状がみられます。

高カルシウム血症の症状
・元気消失
・食欲不振
・震え
・神経過敏
・多飲多尿
・嘔吐、下痢

検査・診断

高カルシウム血症を起こすそのほかの疾患を除外してから、以下のような検査を行い診断していきます。

・エコー検査
・血液検査(上皮小体ホルモン、カルシウム、リンの測定など)

治療

上皮小体機能亢進症の治療は以下のとおりです。

内科療法
薬剤による対症療法
高カルシウム血症の症状が出ている場合

外科療法
手術による腫大した上皮小体の切除
術後は低カルシウム血症を起こしやすいので、内科的管理が必要となります。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・長期の通院や定期的な検査が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

予防

原発性の上皮小体機能亢進症の場合は、現時点で予防法はありません。

栄養が原因となっている場合は、栄養バランスのいい食事をとることで予防可能です。
腎不全を発症している子は血中のリン、カルシウムの濃度を定期的にモニタリングすることが重要です。

タグ

部位

関連する病気

監修

獣医師 西川身和

獣医学科卒業後、一般動物病院勤務、大学病院研修医勤務、動物福祉を学ぶ海外渡航などを経て、現在は動物の健康しつけ相談を行いながら、動物の健康や福祉に関する情報を発信しています。

愛猫4匹とまったり暮らしつつ、人間と動物のより良い関係づくりに日々奮闘しています。