ききょう 気胸 [犬]

概要

胸腔内に空気が入り込むことで、肺が縮んでしまう状態を気胸といいます。

基礎知識

犬の気胸は以下の3つに分類されます。

閉鎖性気胸
肺や気管の損傷した部分から空気が胸腔内に漏れている状態で、体外との空気の行き来はありません。

開放性気胸
胸に穴が空いているなど、体外との空気の行き来があります。

緊張性気胸
胸腔内に漏れ出る空気が多く、さらに体外への空気の行き場がないので、胸腔内がパンパン(陽圧)になってしまう気胸です。最も重症度が高く緊急の対応が必要となります。

原因

犬の気胸には主に3つの原因があります。

外傷性気胸
犬では多くが外傷性で、交通事故で肺や胸壁が損傷したり、咬傷によって胸壁に穴が開いてしまうことが原因となります。

自然気胸
犬ではまれですが、肺嚢胞(ふうせん状の構造物)などがもともとある動物では、興奮や咳き込みによって肺嚢胞が破裂して起こる場合があります。また、肺炎や肺がんなどでも肺の一部が破裂することがあります。

医原性気胸
胸腔の外科手術などの際に、胸腔に空気が入り込んでしまうことがあります。

症状

気胸の犬では呼吸困難を起こし、浅くて速い呼吸がみられます。
開口呼吸(口を開けたまま呼吸をすること)やチアノーゼ(舌の色が紫色になる呼吸困難のサイン)などがみられることもあり、症状は原因や程度によって無症状〜ショック状態を起こすものまで様々です。

検査・診断

胸部レントゲン検査を行い、胸腔内の異常な空気の溜まりと、肺が縮んでいる様子が確認できれば気胸と診断できます。

治療

気胸の治療は以下のとおりです。

気胸の治療は、原因と症状に合わせて選択します。
呼吸器症状のない軽度の閉鎖性気胸の場合は、数日間の安静のみで改善することがあります。

外科治療
呼吸困難があり、胸壁や肺の損傷が強い開放性気胸や緊張性気胸の場合には、外科的な処置が必要となります。
胸腔内にチューブを挿入して胸の中の過剰な空気を排出させたり、全身麻酔で開胸し、損傷した肺や胸壁の整復をする必要がある場合もあります。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・緊急治療が必要になる場合があります。かかりつけのの病院の休診日や夜間診療をしている病院をあらかじめ調べておきましょう。

予防

外傷や交通事故に気をつけて生活することが、気胸の予防につながります。

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監修

獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院

日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。


フクナガ動物病院ホームページ

https://fukunaga-ah.com/