はいえん 肺炎 [犬]

概要

肺に炎症が起こる病気です。

基礎知識

肺は体内に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するガス交換機能を持つ重要な臓器です。
炎症により炎症細胞や線維組織が肺に入り込むと、肺の細胞を圧迫し、ガス交換ができない状態になります。重症化すると呼吸不全となり命に関わります。

原因

原因には以下のようなものがあります。
・細菌
・ウイルス(ケンネルコフなど)
・真菌や寄生虫
・異物や飲食物の誤飲
・アレルギー
・有毒ガスや煙の吸引
・放射線

犬では細菌性肺炎や誤嚥性肺炎の発生が多くみられます。ウイルス性肺炎は細菌感染が伴うことで肺炎症状をあらわすことが多いです。原因がわからない特発性のものも存在します。

症状

浅く速い呼吸と咳の呼吸器症状がみられます。発熱や食欲の低下がみられることもあり、重症化すると呼吸困難になり命に関わります。

検査・診断

聴診で肺の異常音が聞き取れる場合があります。レントゲン検査で肺が炎症により白くなっていないか、肺のどの部分に異常があるかを確認します。血液検査では炎症の値を確認します。正確な診断のために、全身麻酔下で、ごく少量の生理食塩水を肺に入れて回収して検査する気管支洗浄を行うこともあります。

治療

肺炎の治療は以下のとおりです。

緊急治療
呼吸困難を起こしている場合、輸液や酸素吸入、気管を拡張させる薬や抗炎症剤などの投与を行います。

内科治療
原因や状態によって異なりますが、抗生剤や気管を拡張させる薬を使用し、ステロイドなどの抗炎症剤を投与することもあります。
また、気管が痰や異物を排出する機能を助けるため、ネブライザーという加湿器を使い気管に潤いを与えます。

そのほか
寝たきりの犬の場合、同じ体勢で横になっていると気管の排出機能が妨げられ、肺が硬くなるため、数時間ごとに寝返りをうたせます。

病院探しのポイント

・緊急治療が必要な場合もあります。呼吸が苦しそうな症状があるときは至急診てもらえる病院を探しましょう。また、このような緊急事態に備えて、かかりつけのの病院の休診日や夜間診療をしている病院をあらかじめ調べておきましょう。

・複数回の通院や長期の入院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

予防

ケンネルコフなどの感染症は定期的なワクチン接種でリスクを軽減できます。

誤嚥性肺炎は子犬や高齢犬で発症しやすく、食事を補助する際に量を調節したり、きちんと飲み込んでから次の食事を食べるように促すと予防することができます。

タバコの煙や防水スプレーなどによっても発症することがあるため、屋外で行うようにしましょう。

タグ

部位

関連する病気

監修

アイペット損保 獣医師チーム
アイペット損害保険株式会社

獣医学科卒業後、動物病院にて小動物臨床に従事。現在はアイペット損保に勤務。
獣医師であり飼い主/ペット栄養管理士の資格取得

アイペット損保を通じて、飼い主さまがにワンちゃんネコちゃんと幸せに暮らすための情報をお伝えしていきたいと思っています。


アイペット損害保険株式会社

https://www.ipet-ins.com/