じょうどうこうどう 常同行動 [犬]
概要
不安障害の一つで、欲求不満やストレスがたまった場合や、どうしたらいいのかわからなくなった時に、全く関係のない行動を繰り返すなどの症状を常同行動といいます。
基礎知識
自分の尾を追ったり、過度にからだをなめたりしますが、その行動自体には何の意味もなく、繰り返し行動をすることでストレス解消をしているとされています。
年齢・品種・性別に関わらず発症しますが、犬種により起こりやすい行動に傾向があり、柴犬などでは尾追い行動が多いとされています。
平均発症年齢は12〜36ヵ月齢で、社会的成熟期と呼ばれる時期に多くみられます。また、常同障害の約半数は1歳までに最初の兆候がみられるとされており、原因が解決されるまで繰り返し起こすことが多いです。
原因
原因はさまざまですが、不安や退屈、引っ越しや家族構成の変化などによる環境の変化、コミュニケーション不足、欲求不満(ケージや狭い部屋に入れられている時間が多いなど)から起こるとされています。
症状
尾追い、回転、過度に体をなめる、食べ物以外のものを口にする、影や光を追う、ハエを追うようなしぐさをするなどが代表的な症状です。
これらの症状が悪化すると、尾を噛みちぎってしまったり、なめ壊した部分が腫れたり出血するなどの自傷行動に発展する恐れがあります
検査・診断
詳細な問診と診察室での行動観察、飼い主さんとのコミュニケーションの確認、および自宅での行動を動画で確認するなどにより診断します。
常同行動は、「明らかな目的をもたない行動が繰り返し認められる」場合に疑われます。その繰り返す行動が、正常の範疇を超えているのかどうかを見極めます。
鑑別が必要な疾患(脳神経疾患、皮膚疾患、疼痛を伴う疾患、感染症、内分泌疾患など)を除外するために、血液検査や尿検査、ホルモン検査、神経学的検査、皮膚検査などを行う場合があります。
治療
常同行動の治療は以下のとおりです。
・犬にとって生活環境が安定し、快適であることは非常に重要なため、生活環境や飼育状況を見直し、飼い主さんとの信頼関係を築けるようトレーニングなどを行います。問題行動に対して叱ったり、ケージに閉じ込めたりなどの罰を与えている場合は、これにより悪化する可能性があるので中止します。
・過度のなめにより皮膚炎や脱毛がみられたり、自傷行動がみられる場合には、エリザベスカラーの着用などを試みます。
・行動治療や薬物療法などの治療が必要となる場合もあります。
病院探しのポイント
検査や治療のために設備を持っている病院に紹介されることもあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
予防
犬にとって安全かつ快適な生活環境を整えてあげることと、飼い主さんとの信頼関係を構築することが重要です。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ