こうじょうせんしゅよう 甲状腺腫瘍 [犬]
概要
甲状腺は喉仏の近くにあり、左葉と右葉からなる一対の臓器です。甲状腺では甲状腺ホルモンという、体の代謝を活発にするホルモンを作っています。
犬の甲状腺腫瘍のほとんどが悪性と言われています。
基礎知識
甲状腺腫瘍には良性の甲状腺腫と悪性の甲状腺癌があります。ほかに甲状腺髄様癌(こうじょうせんずいようがん)という腫瘍もありますが、あまり多くはありません。
甲状腺は左右に広がった臓器ですが、片側だけが腫瘍化して大きくなることもあれば、両側性に大きくなることもあります。腫瘍になったからといって、必ずしも甲状腺ホルモンが多く分泌されるわけではありません。
ボクサー、ゴールデン・レトリーバー、ビーグルで発生が多いとされています。
原因
明らかな原因はわかっていませんが、甲状腺刺激ホルモンが関与している可能性があると言われています。
症状
首元に腫れた甲状腺が触れることがあります。腫瘍が大きくなり首元を圧迫するくらいのサイズになると、咳や声の変化、息苦しい様子などが認められることもあります。
甲状腺ホルモンを多く分泌している腫瘍の場合は、過剰なホルモンの影響で水をよく飲むようになったり、食べているのに体重が減ってしまったりすることがあります。
検査・診断
エコー検査やレントゲン検査で、甲状腺が腫れているかどうか確認します。細い針を刺して中の細胞を観察する、細胞診という検査をすることもあります。甲状腺ホルモンが異常に分泌されているかどうかも、血液検査で調べます。
確定診断は手術で摘出した後に、病理検査が必要となります。
治療
甲状腺腫瘍の治療は以下のとおりです。
外科手術
手術が第一選択となります。転移しているものや、周りの臓器とくっついてる場合などは、手術ができないこともあります。
放射線治療
手術ができなかった場合や、手術で取り残した腫瘍に対する放射線治療も選択肢の一つとなります。
内科治療
手術ができなかった場合や、手術で取り残した腫瘍に対して抗がん剤を使用することもあります。
手術で取り切れない場合、予後は不良です。
病院探しのポイント
獣医師としっかり話し合い治療を進めていく必要があります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
予防
残念ながら、発症を予防することは困難です。
早期に発見できるように、定期的な健康診断などをおすすめします。
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監修
獣医師 吉田茉利子
花岡動物病院
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後、東京大学動物医療センター内科学診療科上級研修医課程を修了。現在は花岡動物病院勤務に従事。
日本獣医がん学会腫瘍科Ⅱ種認定医。
飼い主さんにも分かりやすい説明を心がけています。
ビーグル大好きです!
小さい頃の憧れは大型犬(もしくはやまいぬ)の背中に乗ることです!
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