ねこかりしういるすかんせんしょう 猫カリシウイルス感染症 [猫]

概要

猫カリシウイルスが口の粘膜、鼻や喉といった気道に感染することで、鼻水や咳などの呼吸器症状や口内炎を引き起こす病気です。

基礎知識

いわゆる猫風邪と呼ばれる状態を引き起こします。重い症状がでるのは子猫が多いですが、成猫にも症状がでることがあります。

原因

猫カリシウイルスの感染が原因です。
口や鼻からの分泌物に接触することで、口や鼻を通して感染します。同居の猫は、お互いに毛づくろいをすることやくしゃみからうつってしまうことがあります。

感染した猫は、回復して無症状となった後も長期間ウイルスを排泄し続け、時には一生涯ウイルスの感染源となります。

症状

3~4日前後の潜伏期間の後に、元気がなくなる、発熱、くしゃみ、鼻水などの呼吸器症状がでることが多いです。
舌や口の中の粘膜に水疱(すいほう)や潰瘍(かいよう)ができて痛みにより食欲が落ちたり、よだれが出たり、涙や結膜炎など目の症状がでることもあります。

同時に細菌にも感染すると、黄色い膿の混じった鼻水が出たり、肺炎を起こしたりと重症化します。
また、関節炎により、足を引きずって歩くこともあります。

検査・診断

身体検査、血液検査、ウイルス学的検査、目の検査などを行います。症状や身体検査から感染を疑い、血液からウイルスの遺伝子や抗体を調べることで診断します。目の症状がある場合には、角膜の検査などを行うことがあります。

治療

猫カリシウイルス感染症の治療は以下のとおりです。

内科治療
ウイルスに対する有効な治療薬はないため、症状にあわせて対症療法を行います。

抗ウイルス薬
ウイルスの増殖を抑制します。

抗生剤
細菌の感染も同時に起こしている場合に有効です。

点滴
脱水を改善したり体の状態を安定させます。

点眼薬や眼軟膏
結膜炎に対して使用します。

痛み止め
口内炎の痛みで食事がとれないときに使います。

猫カリシウイルスは体に長期間潜伏する性質があるため、いったん症状が落ち着いても免疫力や体力が落ちたときなどに症状がぶり返したり、結膜炎や口内炎が慢性化して長く続くことがあります。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・一度症状が落ち着いても再び発症する場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

・ネコちゃんのストレスを軽減するために、アクセスの良い場所にキャットフレンドリーな病院があるか探してみるのもよいでしょう。

予防

ワクチン接種が有効な予防策です。ワクチンは定期的に追加接種する必要があります。

また、多頭飼いの場合には同居の猫への感染を防ぐために環境をきれいに保ち、次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行うことや、食事や水の皿を分けるなどの対策が有効です。

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監修

アイペット損保 獣医師チーム
アイペット損害保険株式会社

獣医学科卒業後、動物病院にて小動物臨床に従事。現在はアイペット損保に勤務。
獣医師であり飼い主/ペット栄養管理士の資格取得

アイペット損保を通じて、飼い主さまがにワンちゃんネコちゃんと幸せに暮らすための情報をお伝えしていきたいと思っています。


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