はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん(でぃーあいしー) 播種性血管内凝固症候群(DIC) [猫]
概要
がんや重度の感染症などの病気をきっかけに、全身の血管に血栓が生じる重篤な病気(合併症)です。
DICとも呼ばれます。
基礎知識
白血病、悪性腫瘍、感染症、ショック、免疫介在性溶血性貧血、熱中症、急性膵炎など様々な基礎疾患から発症する可能性がある病気です。
原因
基礎疾患によって、血液が固まりやすい状態になり全身で血栓が作られます。その血栓が全身の細い血管につまることで、多臓器不全を引き起こします。
また、体内で血栓が作られることで、血を止める材料(凝固因子)が不足してしまい出血しやすい状態にもなります。
症状
血尿や吐血、血便、さらには皮膚に紫色の斑点が現れるなどの出血傾向がみられます。
血栓が詰まる場所により、腎不全や肝不全、脳梗塞を起こしたり、多臓器不全に陥ることもあります。これらの状況により、ぐったりしている、意識がない、呼吸困難、四肢麻痺など様々な症状がみられます。
検査・診断
播種性血管内凝固症候群は命に関わる緊急疾患なので、簡易的な診断法をとることが多いです。
血液検査によって血液を固める機能の状態を調べます。具体的には血小板数やそのほかの血液を固める因子の量、血液が固まるまでの時間などから判定します。その検査結果と、基礎疾患の有無などを併せて播種性血管内凝固症候群の簡易診断を行います。
治療
播種性血管内凝固症候群の治療としては、基礎疾患の治療が根本的な治療となります。
ただし、播種性血管内凝固症候群は命に関わる緊急性の高い疾患なので、並行して症状に併せた治療を行うことが必須となります。
内科治療
ヘパリンなどを投与して、血栓をこれ以上作らせないようにする抗血栓療法、不足している凝固因子の補充や、血液の補充を行う輸血療法などを症状に併せて行います。
病院探しのポイント
・緊急治療が必要ですので、至急診てもらえる病院を探しましょう。
・このような緊急事態に備えて、かかりつけの病院の休診日や夜間診療をしている病院をあらかじめ調べておきましょう。
予防
基礎疾患から続発するので、日頃から猫の体調に注意し病気を早期発見できるようにしましょう。
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監修
獣医師 西川身和
獣医学科卒業後、一般動物病院勤務、大学病院研修医勤務、動物福祉を学ぶ海外渡航などを経て、現在は動物の健康しつけ相談を行いながら、動物の健康や福祉に関する情報を発信しています。
愛猫4匹とまったり暮らしつつ、人間と動物のより良い関係づくりに日々奮闘しています。