しんたんぽなーで 心タンポナーデ [犬]
概要
心臓を覆っている心膜と心臓との間に、何らかの原因によって心嚢水(しんのうすい)という液体が多量に溜まり、心臓を圧迫してしまう病気です。
基礎知識
心膜腔と呼ばれる場所に液体が多量に溜まり、心臓が圧迫されると、心臓のポンプ機能がうまく働かなくなり、心臓から送られる血液が減ってしまったり血圧が低下するなどの悪循環を招きます。この状態を心タンポナーデといいます。
原因
心タンポナーデの原因は、以下のとおりです。
・腫瘍
・特発性(原因不明)
・右心不全
・フィラリア症
症状
心タンポナーデを起こすと血液の循環が悪くなり、全身に血が停滞し胸水や腹水などが溜まるようになります。
それに伴い、元気や食欲が急激に低下したり、呼吸困難などの症状がみられます。さらに進行し血圧が低下すると、ショックを起こして最悪の場合死に至る危険性があります。
検査・診断
・身体検査で、四肢の浮腫(むくみ)や冷感、腹水によるお腹の張り、粘膜の色が白っぽくなるなどの所見がみられます。聴診では心拍数が増加し、心嚢水によって心音が聞こえづらくなります。
・心エコー検査で、心臓の周りに多量の液体が溜まっていることを確認することで診断します。
治療
心タンポナーデの治療は以下のとおりです。
緊急処置
救命処置として、心臓の周りの液体をめがけて針を刺し液体を抜く「心膜穿刺」を行います。貯留液を少し抜いてあげるだけでも症状は劇的に改善しますが、合併症として不整脈や突然死を起こす場合もあります。
内科治療
緊急処置により状態が安定したら、心膜腔内に液体が溜まった原因に対する治療を行います。
外科治療
内科治療で改善がない場合や、心タンポナーデを繰り返す場合には、外科手術で心膜を切り取る「心膜切除」を行います。
病院探しのポイント
・緊急治療が必要ですので、至急診てもらえる病院を探しましょう。また、このような緊急事態に備えて、かかりつけのの病院の休診日や夜間診療をしている病院をあらかじめ調べておきましょう。
・検査や治療のために設備が整っている病院を紹介されることもあります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。
予防
心タンポナーデの原因となる病気を予防・治療することで、心膜腔内に液体が溜まるのを防ぐことにつながります。 特発性(原因不明)の場合には、予防法はありません。
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監修
獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。
フクナガ動物病院ホームページ