ふぃらりあしょう(いぬしじょうちゅうしょう) フィラリア症(犬糸状虫症) [犬]
概要
フィラリアという細長い形の寄生虫が蚊を介して犬の体内に入りこみ、心臓に寄生して様々な症状を引き起こす病気です。
基礎知識
フィラリア症の原因となる寄生虫は正確には犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)と呼ばれ、乳白色・半透明で、成虫になると20cm以上の長さに成長することもあります。
人への感染は極めてまれです。
原因
フィラリアの感染は蚊を介して広がります。
フィラリアに感染した動物が蚊に血を吸われると、成虫が産んだ目に見えないほど小さな子虫(ミクロフィラリア)が血液と共に蚊の体内に入りこみ、再びその蚊が別の犬の血を吸うときに刺し傷から子虫が移動します。
子虫は筋肉などを通り血管の中を移動するうちに6か月ほどかけて成虫となり、心臓の中の肺動脈という血管に寄生し、血流を妨げる原因となります。
症状
症状は様々で、無症状だったり、軽度であれば食欲がおちたり、栄養状態が悪化して毛づやが悪くなるなどの症状がみられます。
重度になると息苦しそうに咳をしたり、腹水によりお腹がふくらむといった症状がでます。まれに急激に悪化して呼吸困難や不整脈を起こしてしまうと、急いで治療をしなければ命に関わります。赤血球が壊れて出た色素により、赤い尿が出ることもあります。
検査・診断
血液検査、エコー検査、レントゲン検査などを行います。血液中のフィラリア成虫から分泌される成分を検出したり、顕微鏡で血液の中の子虫(ミクロフィラリア)を確認することで診断します。心臓のエコー検査で心臓の中にいる成虫の姿を確認することでも診断できます。レントゲン検査では血管の様子や肺の状態をみることで診断の助けとなり、治療内容を決めるときに役立ちます。
治療
フィラリア症の治療は以下のとおりです。
内科治療
抗炎症薬
肺の炎症による呼吸困難に対して使用します。
酸素吸入
呼吸困難の場合に呼吸を助けます。
点滴
脱水を改善したり体の状態を安定させます。
駆虫薬
体内の成虫駆除は病状の悪化を招く恐れがあるため、リスクを判断して慎重に行います。
抗生剤
成虫と共存しているボルバキアという細菌を減らすことで、症状を緩和できる場合があります。
外科治療
全身麻酔下で成虫を摘出する手術を行うことがあります。
経過は重症度によって様々ですが、適切な治療を行わないと死にいたることもある病気です。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
・長期の通院や定期的な検査が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
予防
フィラリア症には予防薬があり、定期的な投与による予防が重要となる病気です。多くの薬は蚊が発生する前後の期間を通して、1か月に1回の投与が必要となります。蚊に刺されて体内に入った幼虫を薬で駆除することで、フィラリア症になるのを防ぎます。最近は薬の作用が長く使用回数を少なくできる薬や、ノミ・ダニ駆除の作用も兼ねた薬などもつくられています。
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監修
アイペット損保 獣医師チーム
アイペット損害保険株式会社
獣医学科卒業後、動物病院にて小動物臨床に従事。現在はアイペット損保に勤務。
獣医師であり飼い主/ペット栄養管理士の資格取得
アイペット損保を通じて、飼い主さまがにワンちゃんネコちゃんと幸せに暮らすための情報をお伝えしていきたいと思っています。
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