心臓の機能が急激に低下することを急性心不全、徐々に低下していくことを慢性心不全と呼びます。

僧帽弁閉鎖不全症、心筋症、肺動脈狭窄症や動脈管開存症といった生まれつきの心臓の異常、フィラリア症などが主な原因となります。小型犬では僧帽弁閉鎖不全症が原因となることが多く、病気の悪化に伴って心不全の症状があらわれるようになります。

疲れやすくなる、散歩に行きたがらない、元気や食欲がなくなる、咳が出るなどの症状があらわれます。胸水や腹水がたまったり、呼吸困難や肺水腫、血栓塞栓症といった重篤な状態に陥ってしまうと、突然死を引き起こす可能性もあります。

身体検査や血液検査で全身の状態を調べます。また、聴診、レントゲン検査、エコー検査などにより、心臓の大きさや動き、肺の状態を確認し診断します。心電図検査で不整脈の有無を確認することもあります。

心不全の原因となっている病気の治療と、症状の緩和や、心臓の機能をサポートするための治療を行います。

内科治療
・原因となっている病気や症状にあわせて、血管拡張薬、心拍数や血圧を抑える薬、強心薬、利尿薬などを投与します。
・塩分を抑えた食事や運動制限により、心臓にかかる負担を減らします。

処置
胸水や腹水が溜まっている場合に、それを抜く処置を行うことがあります。

外科治療
生まれつきの心臓の異常や僧帽弁閉鎖不全症では、手術が適応となることがあります。

心不全の原因となっている病気の完治が難しい場合には、生涯にわたり投薬などの治療が必要となることがあります。

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・長期の通院や定期的な検査が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

心不全の発症を予防することは難しいですが、心臓に疾患を持っている場合は定期的な検査を受けるようにしましょう。

フィラリア症などの予防をしっかり行うことも、対策の一つとなります。