まんせいちょうえん 慢性腸炎 [犬]
概要
腸に炎症を引き起こす細胞が集まり、慢性的な炎症が起こる病気の総称です。
基礎知識
下痢や嘔吐などの消化器症状が3週間以上続くと慢性の腸炎とされます。
慢性腸炎は炎症性腸疾患と同じ意味で用いられることもありますが、定義は明確に決まっていません。
原因
慢性腸炎の原因はわかっていませんが、食べ物や細菌、ウイルス、寄生虫に対する免疫反応や抗生剤、リンパ腫やホルモンの病気などが関連している可能性があるといわれています。
症状
症状は主に下痢で、粘液と血液が混じった下痢をすることがあります。嘔吐、食欲不振、元気がない、お腹を痛がるなどの症状がみられることもあります。
下痢に多量の水分を持っていかれてしまうため、日常的に水を飲んでいても脱水に陥る場合があります。
検査・診断
・問診で、お家での様子を聴取して原因を考察します。
・便検査によって下痢を起こすほかの病気がないかを調べます。
・血液検査、レントゲン検査、エコー検査で腸の様子を観察すると共に、ほかの病気がないかを確認します。ホルモン検査などを行う場合もあります。
・診断が確定する前から食事療法を開始して、その反応から病気を絞ることもあります。
・より正確な診断のためには、全身麻酔をかけて内視鏡検査や開腹手術をして、腸の状態を確認したり、腸の一部をとり病理検査をすることもあります。
治療
慢性腸炎の治療は以下のとおりです。
内科治療
アレルギーに配慮した特別療法食での食事治療を行います。抗生剤、ステロイドなどの免疫抑制剤などを病気の状態によって使い分けます。
基本的に長期的な治療が必要です。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合はかかりつけ医に相談しましょう。
・長期の治療が必要となるため、アクセスの良い病院がよいでしょう。
予防
慢性腸炎に関連している可能性のある、ウイルスや寄生虫感染の一部は、定期的なワクチン接種や駆虫薬が有効な場合があります。
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監修
獣医師 森敦奈
ダクタリ動物病院京都医療センター
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、ダクタリ動物病院京都医療センターにて小動物臨床に従事。
動物医療を通じて、人と動物が共存して暮らせる社会を目指しています。
皆さんが病気辞書を活用して下されば嬉しいです。
ダクタリ動物病院京都医療センターホームページ