血液に含まれるタンパク質は血液中の水分を保持する働きを持っています。そのため低タンパク血症になると水分が血管の外に染み出し、腹水や胸水、浮腫が起こります。
犬ではしばしば見られます。

蛋白漏出性腸症はほかの病気が原因で起こる病気で、その原因には以下があります。

・炎症性腸疾患
・腸リンパ管拡張症
・腸管型リンパ腫
・胃潰瘍や腸重積、出血性胃腸炎などによる胃腸からの出血
・細菌やウイルス、寄生虫感染による重度の胃腸炎

子犬では寄生虫感染や長期間の腸重責によるものが多く、成犬では炎症性腸疾患やリンパ腫によるものが多くなっています。

最もよくみられる症状は下痢です。
原因によりほかに嘔吐や食欲不振などがみられることもあります。低タンパク血症が進行すると腹水や胸水、むくみがみられることがあります。

便検査、尿検査、血液検査、レントゲン検査、エコー検査で、腸に異常がないか、ほかに低タンパク血症を引き起こしている原因がないかを検査します。
全身麻酔をかけ、内視鏡や開腹手術で、腸の状態を観察する場合や、腸の一部をとり病理検査をする場合もあります。

蛋白漏出性腸症の治療は以下のとおりです。
原因に応じた治療が必要です。

内科治療
・細菌性による腸炎が原因の場合、抗生剤の投与が必要になることがあります。
・腹水や胸水がある場合は利尿剤、腫瘍がある場合は抗がん剤などを使用します。
・衰弱している場合、入院管理しながら治療を進めていきます。原因や状態によっては、生涯にわたる治療が必要となることがあります。

外科治療
切除可能な腫瘍が原因である場合、手術で取り除きます。根治治療ではなく、症状改善を目的とする場合があります。

・かかりつけの病院がある場合はかかりつけ医に相談しましょう。

・長期の治療が必要となるため、アクセスの良い病院がよいでしょう。

残念ながら予防法はありません。

早期発見のため、食欲や元気がないか、食事量に変化はないのにお腹が出て太ったように見えないか普段から注意して見てあげてください。