しょくもつあれるぎー 食物アレルギー [犬]

概要

食物の中のある成分が原因で起こるアレルギーを、食物アレルギーといいます。
皮膚だけでなく、消化器などほかの部位に症状がでることもあります。

基礎知識

あらゆる年齢で発症しますが、犬では1歳未満の子犬の時期から症状があらわれることが多いといわれています。
フレンチ・ブルドッグなどでよく認められます。

原因

食物や、そこに含まれている添加物に対するアレルギー反応によって、症状があらわれます。

一般的に原因物質になりやすい食物として、以下のものがあげられます。
・牛乳
・牛肉
・小麦
・大豆
・とうもろこし
・魚肉

しかし、これ以外の食物でもアレルギーを引き起こす可能性はあります。

症状

季節に関係なく、1年中痒みがあります。
典型的な皮膚の症状が起こる場所は、目や口の周囲です。非常に強い痒みによって、犬が自分で掻いたりこすったりするため、皮膚に赤く炎症を起こします。傷ついた皮膚は細菌などに感染しやすくなるので、二次的に感染症を起こすことも多いです。

経過が長くなると、皮膚が厚くなったり、色素沈着を起こして黒ずんだりする症状が起こることもあります。また、治らない外耳炎や、繰り返す皮膚の細菌感染症などを認めることも多いです。

検査・診断

一般的な皮膚の検査により、感染症や寄生虫などほかの皮膚病を除外した後、主に病歴と症状を参考に、除去食試験によって診断されます。

除去食試験とは、今まで食べたことのないタンパク質を使用したフードや、アレルギーが起こりにくいように作られている除去食試験専用のフードだけを最低でも6週間与えて、痒みや皮膚の状態を観察する試験です。症状が軽減、消失すれば食物アレルギーの可能性が強く疑われます。

ただし、食物アレルギーをもっている犬では、アトピー性皮膚炎も同時にもっていることも多く、診断に至るのは容易ではありません。参考のために血液を用いてアレルギー検査を行うこともあります。

治療

食物アレルギーの治療は以下のとおりです。
完治する病気ではなく、原因となる食物がわかっている場合は避け、皮膚の状態に合わせた内科治療で症状を緩和することが目的となります。生涯に渡り付き合っていく必要があります。

内科療法
外用薬
部分的に症状が出ている場合には、外用薬を使用することもあります。

食事療法
原因物質を特定できれば、それを除去した食事を与えます。特定が難しい場合は、アレルギーを起こしにくい低アレルギーフードを与えます。

内服薬
皮膚の状態によっては、抗生剤などを使用することもあります。また、痒みのコントロールのために、ステロイド剤や各種免疫抑制剤、抗ヒスタミン剤などを使用することもあります。ただし、この疾患ではステロイド剤があまり効果がない場合もあります。

病院探しのポイント

・獣医師としっかり話し合い治療を進めていく必要があります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。

・長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

予防

痒みがある犬では、食事の内容に気をつけましょう。食物アレルギーの場合は、原因物質を与えないことが最大の予防になります。

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監修

獣医師 西川身和

獣医学科卒業後、一般動物病院勤務、大学病院研修医勤務、動物福祉を学ぶ海外渡航などを経て、現在は動物の健康しつけ相談を行いながら、動物の健康や福祉に関する情報を発信しています。

愛猫4匹とまったり暮らしつつ、人間と動物のより良い関係づくりに日々奮闘しています。