ていけっとうしょう 低血糖症 [犬]

概要

何らかの原因により、血糖値(血液中のグルコース)が低下することで低血糖症状があらわれた状態です。
低血糖症状があらわれる血糖値には個体差があります。

基礎知識

一般的には血糖値が60mg/dl以下になった状態を指します。
しかし、血糖値がこの値より高くても犬によっては症状があらわれたこともあります。

原因

低血糖症を起こす原因は様々です。
・重度感染症
・飢餓
・3か月齢までの子犬(寒さ、飢餓、消化器病による)
・小型犬(体が小さいことによる)
・猟犬や競技犬(激しい運動による)
・肝疾患
・ホルモンの病気(アジソン病)
・悪性腫瘍
・インスリノーマ(膵臓の腫瘍によりインスリンが過剰に分泌される)
・血糖値を下げる薬の投与(糖尿病などの治療中)

症状

元気がない、ぐったりする、ふらつく、震える、痙攣(けいれん)、下痢、体が冷たいなどの症状が認められます。また、血糖値が下がることでホルモンが分泌され興奮や攻撃行動が生じる場合もあります。重症では、死亡するケースもあります。

検査・診断

症状と血糖値の測定を行い診断します。
原因を探すために、病歴の聴取と一般血液検査、ホルモン検査、必要に応じてエコー検査やレントゲン検査で全身を精密検査します。

治療

低血糖症の治療としては、以下のとおりです。

内科治療
自力で食べられる状態の場合は少量で頻回に食事を与えたり、ブドウ糖のシロップを与えます。重症度によって、血管内にブドウ糖を注射したり、点滴を行います。

また、基礎疾患からの発生であれば、その基礎疾患に対する治療を行います。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。

・緊急治療が必要ですので、至急診てもらえる病院を探しましょう。

・このような緊急事態に備えて、かかりつけの病院の休診日や夜間診療をしている病院をあらかじめ調べておきましょう。

予防

運動量に合わせて、適切にエネルギーを補給させることが予防に繋がります。

特に子犬では低血糖症状に気をつけましょう。子犬で食欲がないときなどは砂糖水を飲ませるなどの予防策をとることや、自宅で低血糖症が疑わしい症状が認められたら砂糖水を歯茎に塗りつけるなどしながらすぐに動物病院を受診しましょう。

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監修

獣医師 西川身和

獣医学科卒業後、一般動物病院勤務、大学病院研修医勤務、動物福祉を学ぶ海外渡航などを経て、現在は動物の健康しつけ相談を行いながら、動物の健康や福祉に関する情報を発信しています。

愛猫4匹とまったり暮らしつつ、人間と動物のより良い関係づくりに日々奮闘しています。