きしりとーるちゅうどく キシリトール中毒 [犬]

概要

ガムなどに含まれるキシリトールを犬が摂取すると、消化管から吸収され、血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌を刺激することで、低血糖を引き起こす中毒です。

基礎知識

キシリトールは、ガムやキャンディー、デンタル製品などに含まれる人工甘味料の一種です。

キシリトール中毒では、一般的に摂取後1時間以内に低血糖に関連する症状が現れます。
摂取後数時間〜72時間以内後に、肝機能障害の症状が現れることもあります。

原因

犬がキシリトールを含んだ食べ物や製品を食べてしまうことで発症します。

体重1kgあたり0.1mgを超えるキシリトールを摂取すると、低血糖症を引き起こし、体重1kgあたり0.5mgを超える量では肝臓に影響を及ぼす可能性があるとされています。

一般的なキシリトールガムに換算すると、体重3kgの犬でキシリトールガムを1個摂取した場合に深刻な中毒症状を起こす可能性があります。

症状

最初の症状として、下痢や嘔吐がみられることがあります。

摂取後1時間以内に低血糖に伴って、意識が混濁する、ふらつく、ぐったりする、発作を起こすといった症状が現れます。

摂取から9〜72時間後には肝機能障害の症状として、皮膚に点状の出血や紫斑が現れる、黒い便が出るといった症状が現れることがあります。

検査・診断

キシリトールは体内に取り込まれるとすみやかに代謝されてしまうため、確定診断は難しく、飼い主さんからの問診における摂取の可能性と症状、血液検査の結果に基づいて行われます。

血液検査では、血糖値や肝臓などの数値、血液の固まりやすさなどを確認します。

治療

キシリトール中毒の治療は以下のとおりです。
キシリトール中毒に対する特定の治療法はありません。

内科治療
・摂取直後であれば催吐処置を行うことがありますが、摂取後短時間で低血糖などの症状が出現することから、催吐処置が適応とならない場合もあります。
・低血糖がみられる場合は、グルコースを補充し、定期的に血糖値を測定します。
・肝障害に伴って血液凝固能に障害が出たり貧血が進行している場合には、輸血を行う場合もあります。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・緊急治療が必要ですので、急ぎ診てもらえる病院を探しましょう。また、このような緊急事態に備えて、かかりつけの休診日や夜間診療をしている病院をあらかじめ調べておきましょう。

予防

キシリトールを含む食品やデンタル製品などを誤食させないようにしましょう。
また、万が一摂取してしまった場合には、速やかに動物病院を受診してください。

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監修

獣医師 福永めぐみ
フクナガ動物病院

日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、横浜市内の動物病院にて小動物臨床に従事。
現在はハバニーズのマフィンくんと共にフクナガ動物病院に勤務。
日本獣医循環器学会、日本獣医がん学会所属。
ペット栄養管理士の資格取得。


フクナガ動物病院ホームページ

https://fukunaga-ah.com/