肥満細胞腫は犬の皮膚にできる悪性腫瘍の中で最も多い腫瘍です。大きさや形は様々で、見た目だけで判断することはできません。

肥満細胞はヒスタミンというアレルギー反応を引き起こす顆粒をたくさんもっているため、触ったり刺激したりすることによって、赤く腫れたり出血したりすることがあります。

体の中にいる肥満細胞という免疫に関係する細胞が腫瘍化すると、肥満細胞腫になります。
ボクサー、ブルドック、ボストン・テリアなどで多く認められます。

症状としては、皮膚のしこりが赤く腫れたり、出血したりすることがあります。皮膚のしこり以外に特にほかの症状を認めないこともあります。
肥満細胞腫から放出されるヒスタミンなどの影響により、嘔吐や下痢をすることもあります。

腫瘍に細い針を刺して、中の細胞を顕微鏡で見る細胞診という検査をします。その後、手術で取り除いた腫瘍を病理検査に出して、確定診断します。
また、全身の状態の把握や転移のチェックのために、血液検査、レントゲン検査、エコー検査などを行います。

肥満細胞腫の治療は以下のとおりです。

内科治療
転移していたり、腫瘍の悪性度が高い場合、また内臓に肥満細胞腫ができた場合などは抗がん剤などを使用することがあります。

外科手術
皮膚にできた腫瘍の箇所を切除します。

放射線治療
手術で腫瘍が取りきれなかったときなどに放射線治療を行います。

経過は悪性度によって変わってきます。悪性度が低く、手術で取りきれた場合は比較的経過は良いです。悪性度が高い場合は経過は悪いです。

獣医師としっかり話し合い治療を進めていく必要があります。まずはかかりつけ医に相談しましょう。

犬の体をよく触り、しこりを見つけたら早めに動物病院に相談しましょう。