こうさんきゅうせいにくがしゅしょうこうぐん 好酸球性肉芽腫症候群 [猫]

概要

主にアレルギーが関連して生じる皮膚病です。
腹部や大腿、口などで見られるいくつかの典型的な皮膚症状を、「症候群」として総称しています。

基礎知識

好酸球(こうさんきゅう)とは、白血球の一種で、アレルギーや寄生虫感染に反応して増加する細胞です。

好酸球性肉芽腫症候群では皮膚の組織中に好酸球が多数見られることがあります。

好酸球性肉芽腫症候群には、好酸球性局面(こうさんきゅうせいきょくめん)、無痛性潰瘍(むつうせいかいよう)、好酸球性肉芽腫(こうさんきゅうせいにくがしゅ)と呼ばれる3つのタイプが含まれます。

原因

一般的に、ノミアレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー性皮膚炎のいずれかに関連して発症していると考えられます。ただし、これら以外の皮膚病に関連しても見られることがあります。

症状

好酸球性局面
強いかゆみを伴うことが多く、主に腹部や大腿の内側で皮膚症状が認められます。皮膚の赤み、表皮が剥がれ滲出液(しんしゅつえき)がにじむ、脱毛をともなう局面(幅広く平らな皮膚の盛り上がり)といった症状が見られます。

無痛性潰瘍
猫の上唇、特に皮膚と粘膜の境目で潰瘍が認められます。じくじくした円形の潰瘍として認められることが多く、周辺が盛り上がり中央がへこんだように見えます。潰瘍部分を触っても、通常、猫は痛がりません。

好酸球性肉芽腫
口の中で見られる結節(1cm~3cm程度の盛り上がり)や、大腿で見られる線状の皮膚の盛り上がりがあります。

これらは一見して全く別の皮膚症状に見えますが、いずれも皮膚組織の中に多数の好酸球が見られるという共通点があります。

検査・診断

主に、症状から診断します。
皮膚の細胞の検査を行う場合があります。

治療

好酸球性肉芽腫症候群の治療は以下のとおりです。

内科治療
免疫を抑える薬の投薬
アレルギー(免疫の過剰反応)が関連している可能性が高いため、症状に合わせて、免疫や炎症を抑える薬を内服で投与します。

ノミの駆虫
ノミアレルギー性皮膚炎が疑われるときには、実際にノミが見つかっていない場合でも、試験的にノミの駆虫薬を用います。背中に付けるタイプの薬を使うことが多いです。

食事の変更
食物アレルギー性皮膚炎で用いられる療法食へのフード変更をおすすめする場合があります。

そのほか
ノミや食事以外のアレルギーが疑われる場合には、シャンプーや保湿剤の使用が推奨されます。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・複数回や長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

・ネコちゃんのストレスを軽減するために、アクセスの良い場所にキャットフレンドリーな病院があるか探してみるのもよいでしょう。

予防

現時点で予防法はありません。

部位

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監修

獣医師 松本裕子
マツモト動物クリニック

北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北里大学大学院博士課程を修了。獣医学博士。日本獣医皮膚科学会認定医を取得。
現在は、愛知県豊橋市のマツモト動物クリニックに勤務。

犬2頭、猫3頭と暮らしています。


マツモト動物クリニックホームページ

https://www.matsumoto-ac.jp/