きょだいけっちょうしょう 巨大結腸症 [犬]
概要
大腸の一部である結腸が常に拡張した状態になる病気です。
基礎知識
何らかの原因で便が結腸にとどまり溜まっていくと、結腸が通常より押し広げられます。その状態が長く続くと結腸の筋力が衰え、拡張したまま戻らなくなります。
結腸にとどまる便からは水分が吸収されて、より硬く出にくくなる悪循環が生まれ、慢性的で重度な便秘へとつながります。これにより自力で排便できなくなることもあります。
犬ではまれです。
原因
原因不明の特発性が多く、腸のつまりや腸の運動低下によっても引き起こされます。
・脊髄の損傷
・大腸の異物や腫瘍
・事故による骨盤骨折
・前立腺肥大
・会陰ヘルニア
・骨盤の発育異常など
症状
症状には、便秘や下痢、しぶり(便が出づらいため排便姿勢を長時間する)があります。
便が溜まりすぎることで腹部が圧迫され、嘔吐や食欲不振がみられることがあります。これらが長期的に続いた場合、脱水や体重減少、衰弱などがみられることもあります。
検査・診断
・腹部の触診や直腸検査で大腸の状態や硬く溜まった便を確認します。
・レントゲン検査で拡張した結腸を確認します。
治療
巨大結腸症の治療は以下のとおりです。
内科治療
・軽度であれば、下剤や便の軟化剤を用いて、自力での排便を促します。
・重度である場合、浣腸を行い、指で便をかき出して強制的に排便させます。脱水や衰弱などがみられる場合は点滴なども合わせて行います。
長期的な内科治療が必要な場合があり、特に神経に障害がある場合は生涯にわたることもあります。
外科治療
内科治療に反応がない場合に、開腹手術を行い結腸を摘出することもあります。
そのほか
繊維質を多く含む食事療法による治療が有効な場合もあります。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合はかかりつけ医に相談しましょう。
・長期の治療が必要となるため、アクセスの良い病院がよいでしょう。
予防
抱っこからの落下や扉での挟み事故などで骨盤を骨折することもあります。抱っこは正しい体勢で行う、扉はゆっくりと確認しながら閉めるといった習慣を身につけ、事故を防ぎましょう。
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監修
獣医師 森敦奈
ダクタリ動物病院京都医療センター
日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、ダクタリ動物病院京都医療センターにて小動物臨床に従事。
動物医療を通じて、人と動物が共存して暮らせる社会を目指しています。
皆さんが病気辞書を活用して下されば嬉しいです。
ダクタリ動物病院京都医療センターホームページ