しきゅうたいじんえん 糸球体腎炎 [犬]

概要

腎臓には、毛細血管が糸のように丸まった糸球体(しきゅうたい)という構造がたくさん集まっています。糸球体は血液から老廃物をろ過して、尿の元となる原尿をつくります。
糸球体腎炎はこの糸球体が炎症を起こし、腎臓の機能が低下する病気です。

基礎知識

糸球体腎炎には、糸球体そのものに異常があって起こるものと、ほかの病気が原因となって起こるものがあります。また、経過によって急性型と慢性型に分けられます。

犬では7歳以上で発症することが多いですが、遺伝性の場合は若い年齢でも発症します。

原因

糸球体腎炎の発症には多くの場合免疫の異常が関係していると考えられていますが、原因が特定できないことも多いです。
発症に関連があるとされる病気は、フィラリア症、子宮蓄膿症、クッシング症候群などです。

症状

急性型
腎臓の機能が急激に低下し、尿の量が減ったり、全く出なくなったりします。元気や食欲が突然なくなり、嘔吐がみられることもあります。

慢性型
腎臓の機能が徐々に低下していき、多飲多尿(尿量が多くなることで飲水量が増える)になったり、食欲の低下や体重減少がみられます。

急性型、慢性型どちらにも共通する症状はタンパク尿で、進行すると浮腫や腹水、高血圧や血栓塞栓症(けっせんそくせんしょう)を引き起こすこともあります。

原因となっている病気がある場合は、その病気によって様々な症状があらわれます。

検査・診断

尿検査でタンパク尿を確認し、ほかの症状とあわせて診断します。血液検査で腎臓の機能を調べたり、レントゲンやエコー検査で腎臓の状態を確認することもあります。

治療

糸球体腎炎の治療は以下のとおりです。
原因となる病気がある場合はその治療を行います。改善が見られない場合や原因となる病気が見つからない場合は、腎不全に対する治療が中心となります。

内科治療
腎臓の薬
腎臓の働きをサポートします。

血圧の薬
高血圧がある場合に投与します。

血栓塞栓症の薬
血栓ができるのを防ぎます。

皮下点滴
腎不全による脱水を改善したり、体の中の老廃物の排出を促します。

食事療法
腎臓の負担を減らすための特別療法食を与えます。

急性型では早期に治療をしないと命に関わることがあり、状態が落ち着いた後も慢性の腎不全に移行する場合があります。

糸球体は一度傷害されてしまうと再生できないため、慢性型では腎不全の進行を遅らせることが治療の目的となります。

病院探しのポイント

・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。

・長期の通院や定期的な検査が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。

予防

現時点では有効な予防法はありませんが、普段から尿の回数や量をチェックする習慣をつけて、異常を早期に発見できるようにしておきましょう。

糸球体腎炎を引き起こすきっかけになる病気を予防することも、対策の一つとなります。

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監修

アイペット損保 獣医師チーム
アイペット損害保険株式会社

獣医学科卒業後、動物病院にて小動物臨床に従事。現在はアイペット損保に勤務。
獣医師であり飼い主/ペット栄養管理士の資格取得

アイペット損保を通じて、飼い主さまがにワンちゃんネコちゃんと幸せに暮らすための情報をお伝えしていきたいと思っています。


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