しかんひふえん 趾間皮膚炎 [犬]
概要
犬の四肢の指の間や、肉球の間で生じる皮膚炎です。皮膚の深い部分で炎症および細菌感染が起きている状態です。
基礎知識
指の間や肉球の間の皮膚では、常に被毛が皮膚の奥に向かって押し込まれています。その刺激により毛根を包む毛包の構造が壊れ、深部での炎症や細菌感染を起こしやすい部位となっています。
原因
細菌感染のほかに、ニキビダニの感染、アトピー性皮膚炎やそのほかの皮膚病、心因性(ストレスに起因して舐め続けてしまう)によっても生じます。
また、床が網目になっているケージや砂利など物理的な刺激、内分泌疾患や肥満も症状を悪化させる要因となります。
ジャーマン・シェパード・ドッグでは、家族性の免疫異常により発症する場合があります。
症状
指の間や肉球の間の皮膚で、じくじくした皮膚炎が生じます。赤みや脱毛、進行すると出血や膿(うみ)の排出、かゆみや痛みを生じます。犬自身が必死に舐め続けていることもあります。
炎症が強いと、腫れあがってしまう場合があります。
治療により良化しても、再発しやすい疾患です。
検査・診断
皮膚症状や、毛の検査や皮膚の細胞の検査などの皮膚検査の結果から診断します。
治療
趾間皮膚炎の治療は以下のとおりです。
内科治療
抗菌薬の投薬
皮膚の深い部分での細菌感染であり、かつ犬自身が舐めやすい部位なので、主に飲み薬で投薬します。深い部分での細菌感染では、抗菌薬を一か月以上継続することが一般的です。
抗炎症薬の投薬
炎症が著しい場合などに、使うことがあります。
ニキビダニの駆虫
ニキビダニの感染が認められた場合には駆虫薬を投与します。
病院探しのポイント
・かかりつけの病院がある場合は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
・複数回や長期の通院が必要となる場合があるため、アクセスの良い病院だと通う際の負担が少なく済むでしょう。
予防
現時点で効果的な予防法はありません。
繰り返しやすい皮膚病なので、趾間皮膚炎になったことがある犬では、砂利など足裏や指の間への刺激が強い場所は避ける、肥満にならないように注意する、といった対処が必要な場合があります。
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監修
獣医師 松本裕子
マツモト動物クリニック
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北里大学大学院博士課程を修了。獣医学博士。日本獣医皮膚科学会認定医を取得。
現在は、愛知県豊橋市のマツモト動物クリニックに勤務。
犬2頭、猫3頭と暮らしています。
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